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ご来店の際は、ぜひお手に取ってご覧下さい。

ISBN
 978-4-924728-70-7 C 3050

◇◆テクノシステムの最新刊◆◇

成膜過程において複雑に影響し合う「分散・塗布・乾燥」各プロセスのメカニズムを相互に関連づけ、横断的に理解するための基礎知識および応用事例!

多様かつ高機能な塗布膜の作製、また、より複雑なナノ材料デバイス作製に向けた塗布膜の性能設計、制御、トラブル対策にも役立つ実務書!

分散・塗布・乾燥の基礎と応用

プロセスの理解からものづくりの革新へ

Dispersion, Coating & Drying Process Fundamentals and Application
Product Innovation through Process Understanding


  湿式の成膜技術は、様々な産業分野において活用されている「ものづくり」の基本的な技術です。すでにこれまで、塗布膜に求められる機能はより高度化、多様化し、欠陥を少なく均一に塗る塗布技術や、分散・塗布・乾燥各装置の開発も著しく進歩発展してきました。さらに最近では、ナノ材料を用いたより複雑な塗布膜作製に対するニーズが高まりつつあります。その一方で、こうしたウエットプロセスは現象が複雑で制御しづらく、そのメカニズムは十分に解明されていないために、経験知の蓄積が重要な役割を果たしてきました。
 このような背景をふまえ、本書では、改めて、分散、塗布、乾燥、の各プロセスを横断的に俯瞰しつつ、そのメカニズムを描き出すことを試みました。基礎編では、分散、塗布、乾燥、欠陥の各章において、実際に用いられる塗布・乾燥手法や欠陥、ならびに、そのとき塗液や塗膜で起きている物理化学現象について解説しました。より専門的な内容とともに、基礎知識を盛り込み、初歩的な理解にも役立つよう心がけています。また、応用編では、電池関連、ディスプレイ・照明関連、エレクトロニクス関連、機能性フィルム、プレコート鋼板といった、関連する重要な領域での事例を紹介し、基礎編の理解を補完することを目指しました。
分散・塗布・乾燥、各プロセスのメカニズムを理解することは、より高品質、高機能な塗布膜の設計、制御、トラブル対策、ひいては将来の技術革新に必ずや役立つことと確信しています。


太陽電池、リチウムイオン二次電池、燃料電池、有機EL、誘電体セラミックス、ガスバリアフィルム、ゼオライト膜、農業用フィルム等、応用例多数!

分散・塗布・乾燥の基礎と応用
  ●監修 敬称略 
山口 由岐夫 東京大学 大学院工学系研究科 化学システム工学専攻 
教授 工学博士

  ●編集委員 50音順・敬称略 

大嶋 寛 大阪市立大学 大学院工学研究科 化学生物系専攻 
教授 工学博士   
神谷 秀博 東京農工大学 大学院工学研究院 応用化学部門 
教授 工学博士   
辻 佳子 東京大学 環境安全研究センター 准教授 
博士(工学)   
淵上 修三 ミネソタ大学 化学工学・材料科学科 フェロー
山村 方人
九州工業大学 大学院工学研究院 物質工学研究系 
教授 博士(工学)

  ●執筆者 44名  執筆者一覧
  ●発 刊 2014年 3月 10日 
  ●体 裁 B5判 二段組上製本 600頁
  ●価 格 48,000円 (+税) 

           国内送料弊社負担
  ●ISBN 978-4-924728-70-7
        C3050
 
  ●発 行 株式会社テクノシステム

印刷用パンフレット(PDF)  執筆者/目次 全データ

 

「発刊にあたって」


 
日本は「ものづくり」が得意である。その理由は「ものづくり」における技術と感性がほどよくバランスしているからであろう。「ものづくり」技術とは,材料の評価技術,材料を製品に変換するプロセス技術,製品の評価技術など一連の製品製造技術である。「ものづくり」の製造プロセスは,製品に応じて,様々な微粒子や粉体やポリマーなどを扱うことに特徴がある。
 製品(プロダクト)のイノベーションは,社会に新しい価値を提供し続けるために必要だ。このプロダクト・イノベーションを,マテリアル・イノベーションとプロセス・イノベーションの掛け算と考えると,両者の役割が明確になる。大学は主としてマテリアル・イノベーションを担い,企業はプロセス・イノベーションを得意とする。プロダクトの機能は複数の性能に分解され,これらの性能をバランスよく実現するために,「ものづくり」のプロセスを深く理解しておくことが必要である。プロセスの理解により,プロセス・イノベーションを実現し,プロダクト・イノベーションを起こすことが可能になる。
 「ものづくり」プロセスにはドライプロセスとウエットプロセスの二つがある。電子製品以外は主にウエットプロセスが用いられている。日本が「ものづくり」において優位性を保つのは部材である。その部材の大半はウエットプロセスにより製造されている。ウエットプロセスはドライプロセスに比べはるかに複雑で,多様な装置や操作から成り立っている。逆に,この「ものづくり」の複雑さが,日本の「ものづくり」を強くしているといえる。
 ウエットプロセスの難しさには,製品に至る操作が長くて複雑なこと,原料の性状が重要であること,装置に依存すること,操作手順に依存すること,などが挙げられる。特に,様々な材料の分散や混合のプロセス技術が必要である。さらに,フィルムや薄膜などの形態を製作するために,塗布や乾燥のプロセスも必要である。多くの材料をいくつもの工程を経て最終製品に仕上げるためには,多くの技術の組み合わせや技術のつなぎが必要である。また,定量化が難しい技術を支援する感性も必要となる。
 「ものづくり」においては経験が必要であり,大学で学べる理論も限定的なため,人材育成や技術の伝承が難しい。このような状況下では,少し立ち止まって,自分の頭でものを考えることが必要だ。その際,本書は先生であり,仲間でもあり,常に寄り添ってくれるものと確信する。なぜなら,プロセスの本質を理解することに努めているからである。分散・塗布・乾燥をできる限り深く説明し,基礎から応用に至る広範な領域を網羅している。以上の実現のために,産学が連携して本書を執筆した。
 日本の「ものづくり」における,プロセス・イノベーションを実現するために,本書が役に立つことを期待したい。

平成 26 年 3 月 監修 山口 由岐夫  

●主な目次 (詳細目次は各章タイトルをクリックするとご覧になれます。)

序章 
    塗布膜の性能設計のための分散・塗布・乾燥のプロセス制御の重要性

第T編 基礎編

第1章 分散
  第1節 分散の基礎
    第1項 粒子の基礎的特性
    第2項 粒子間相互作用
    第3項 粒子溶媒間相互作用
    第4項 粒子濃度,表面間距離と凝集機構
    第5項 粒子分散法とその機構
    第6項 界面活性剤,分散剤の基礎的作用機構,吸着機構
  第2節 調液/送液
    第1項 分散剤の実際とその役割
    第2項 ナノ分散の特徴
    第3項 物理的分散方式の特徴
    第4項 ビーズミル方式
    第5項 送液技術
  第3節 分散性評価
    第1項 粒子径分布の測定
    第2項 ゼータ電位の測定
    第3項 粒子の界面特性,分子構造
    第4項 粒子間ポテンシャル,相互作用
  第4節 粒子の表面修飾
    第1項 有機化合物を用いる表面修飾技術
    第2項 無機化合物を用いる表面修飾技術
  第5節 コロイド動力学
    第1項 粒子混相系のモデル化
    第2項 コロイド粒子の拡散現象
    第3項 サスペンジョンの動力学,レオロジー
    第4項 粒子系のゲル化
  第6節 混練・ペースト作製

第2章 塗布
  第1節 塗布の基礎
    第1項 塗布薄膜
    第2項 気相および液相における薄膜構造形成
  第2節 塗布材料物性
    第1項 表面/界面と塗布液物性およびその測定評価法
    第2項 塗布液粘弾性とその測定評価法
    第3項 塗布液の複合物性
  第3節 塗布方式と特徴
    第1項 塗布方式の分類
    第2項 塗布方式1(後計量塗布) ロール塗布
    第3項 塗布方式2(前計量塗布) スライド塗布
    第4項 塗布方式3(前計量塗布) カーテン塗布
    第5項 塗布方式4(前計量塗布) スロットダイ塗布
    第6項 塗布方式5 インクジェット塗布
    第7項 塗布方式6 スピン塗布
    第8項 塗布方式7 パターン塗布
  第4節 表面の性状
    第1項 界面に働く力
    第2項 粒子の濡れ性
    第3項 メニスカスの形状と毛管力
  第5節 塗布流動
    第1節 潤滑流
    第2項 自由表面流とプロファイル方程式
    第3項 動的接触角
    第4項 流体力学的安定性
    第5項 塗布膜厚
  第6節 塗布流動数値シミュレーション
    第1項 塗布流動解析の特徴
    第2項 塗布流動の基礎式,解析手法の分類
    第3項 各種解析ソフトによる塗布解析
    第4項 解析による塗布故障の予測(最適設計事例)

第3章 乾燥
  第1節 溶媒乾燥の基礎
    第1項 乾燥特性と材料物性
    第2項 恒率乾燥と減率乾燥
    第3項 多成分系の乾燥
    第4項 熱風乾燥シミュレーション
  第2節 乾燥濃縮過程
    第1項 濃縮層形成のダイナミクス
    第2項 高分子濃縮層の形成
    第3項 粒子濃縮層の形成
  第3節 乾燥中の固体析出
    第1項 溶媒乾燥に伴う溶質・結晶の析出挙動
    第2項 高分子電解質共存下における微結晶生成
    第3項 有機化合物の結晶析出挙動
    第4項 準安定領域の考え方
  第4節 乾燥硬化方式
    第1項 乾燥方法
    第2項 ハイブリッド乾燥
    第3項 硬化方法
    第4項 UV 硬化
    第5項 UV 硬化速度の測定方法
    第6項 ラジカル系 UV 硬化反応の反応工学モデル
    第7項  UV 硬化反応の数値シミュレーション
  第5節 乾燥膜の力学特性
    第1項 膜応力と破壊
    第2項 乾燥クラック
    第3項 塗布膜の密度
    第4項 粒子体積分率と物性
  第6節  乾燥薄膜の電子物性
    第1項 乾燥による構造形成の基礎
    第2項 溶液からの固相析出
    第3項 スピンコート成膜による薄膜形成
    第4項 薄膜形成ダイナミクス計測
  第7節 乾燥によるコロイド粒子系の自己組織的構造形成
    第1項 粒子系構造形成の基礎
    第2項 液滴乾燥によるパターン構造形成
    第3項 垂直型移流集積法によるストライプ構造形成
    第4項 網目構造形成
    第5項 3 次元構造形成
    第6項 パターン形成
    第7項 粒子膜構造と複屈折
  第8節 粒子系の自己組織的構造形成シミュレーション
    第1項 シミュレーションの基礎
    第2項 せん断場におけるコロイド粒子系の分散・凝集
    第3項 単層系・多層系
    第4項 粒子系網目構造の形成
    第5項 棒状・板状粒子
    第6項 バイモーダル球状粒子

第4章 欠陥
  第1節 塗布欠陥
    第1項 リビング
    第2項 空気同伴
    第3項 支持体起因の膜厚ムラ
    第4項 段ムラ
    第5項 ウイーピングとリブレット
    第6項 スジムラ
  第2節 乾燥欠陥
    第1項 スキニング
    第2項 相分離
    第3項 ブリスター
    第4項 反り
    第5項 クラック
    第6項 膜剥離
    第7項 偏析
    第8項 皺(リンクル)
    第9項 溶媒凝縮ムラ
  第3節 塗布・乾燥欠陥
    第1項 ハジキ,ピンホール
    第2項 表面あれ
    第3項 塗布乾燥プロセスウィンドウ

第U編 応用編

第1章 電池関連
  第1節 色素増感太陽電池(DSSC)
  第2節 リチウムイオン二次電池
  第3節 燃料電池と塗布乾燥

第2章 ディスプレイ・照明関連
  第1節 塗布型低分子有機 EL 
  第2節 塗布型有機 EL 照明
  第3節 塗布型透明導電膜
  第4節 ナノ粒子をフィラー成分とする透明帯電防止コーティング
  第5節 ディスプレイ用光学フィルム

第3章 エレクトロニクス関連
  第1節 プリンテッド・エレクトロニクス
  第2節 誘電体セラミックス(チップ積層セラミックコンデンサー)
  第3節 ナノインプリント

第4章 機能性フィルム
  第1節 ガスバリアフィルム
  第2節 ゼオライト膜
  第3節 農業用フィルム

第5章 プレコート鋼板(化粧鋼板)

索引