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ISBN 978-4-924728-76-9 C 3050

◇◆テクノシステムの最新刊◆◇

材料表面の親水・親油の評価と制御設計

Information for Consultants in Colloid and Surface Science

●製造現場で生じる問題について役立つ情報を集め、過去の類書に不足していた領域の解説を加えた手引き書!●

コロイド界面の分野では、製法、手順、コツといったものによって集合体の性質が大きく変わることが多く、教科書的な理解では見落とされてしまう部分があった。本書では、基礎的な技術の解説から、各現場での実際の扱いの事例を多く収録。また、溶解度パラメータの解説とその周辺の事項についてトレーニングのための例題を示している。はじめて学ぶ若い技術者や、研究者から相談を受ける立場にたつ職場のキーパーソンやコンサルタント等に役立つ情報を集めた、実践的手引き書!


技術者が製造の現場で直面する問題の解決に役立つよう、さまざまな領域の事例、データをまとめた手引き書!

材料表面の親水・親油の評価と制御設計

   ●監 修  石井 淑夫 鶴見大学 名誉教授 学術博士
   ●執筆者  72名  執筆者一覧
   ●発 刊  2016年 7月 27日 
   ●体 裁  B5判 二段組上製本 600頁
   ●価 格  48,000円(+税)
 国内送料弊社負担
   ●ISBN  978-4-924728-76-9 C3050
   ●発 行  株式会社テクノシステム

       □ 印刷用パンフレット(PDF) 
       □ 執筆者/目次 全データ

 

 

「発刊にあたって」

 この書は製造現場で生じる問題について,若い技術者や研究者から相談を受ける立場にたつ職場のキーパーソンやコンサルタント等に,役立つ情報を集めるという立場で企画された。当社では現場の第一線で必要になる内容を主とした 「泡のエンジニアリング」,「異種材料界面の測定と評価技術」 を出版してきた。また絶版ではあるが 「ぬれ技術ハンドブック」 にあるデータも重宝されている。ここではそれらの既刊の書に不足していた領域の解説を加えた上で,評価法そのものを評価できるように,また大所高所に立ってコロイド界面技術の未来の展望が得られればと願って編集が進められた。

 コロイド界面科学の未来像を予測することは,相談を受ける立場にたつ職場のキーパーソンやコンサルタント等にとって重要な要素と考えた。時には相談相手に蘊蓄が語れるくらいになって欲しいという願いが込められた。従来の自己無同着な体制で編集されたものとは異なり,第1章から順に読み進める必要はなく,解決すべき問題に直結した項目を探して,関連した内容に直接当たって利用するのがこの書の本来の目的に適っていると考える。  

  第1章は既刊の書には記載されていなかった領域として,基本的な事項を解説している。その中で微粒子測定機器の開発に係る研究者がどのような攻め方をしているのかが分かるように,自由に執筆して頂いた。

 2章3章は学問体系としても独自の進歩を遂げているのでコロイド界面に属するテーマとは考えていない研究者が多く,この書の目的には応えられないと渋っていた執筆者もおられたが,最終的に我々の意図を理解して執筆して下さり,感謝している。そのくらいに,この分野は独自の進化を遂げているように思えた。 執筆者は主として第一線での発表内容を頼りに依頼し御協力頂いた。測定法自体に係る内容から試料の取り扱いなど多種多様なテーマが収められている。分量が多いので二つの章に分けたが,その間に厳密な線は引けない。考え方を異にすれば別の分け方も考えられるので,利用するときには関連項目を個々に比べて問題解決に役立つ節を探すのが良いと考える。  

  4章の最初の4節まではゼータ電位測定の装置を中心にして各社の製品の特長をメーカー側に立って説明している。後半の磁化率測定と電界誘起気泡メスは内容的に斬新で,夫々を別の章にして独立させたいところであるが分量が少ないのでこの章に付けることにした。

 多くの企業が動的測定に関心を持っているが,平衡系と異なり動的測定(非平衡系の測定)には固定すべき条件が何通りも存在していて,どのように進めたら良いか迷う場面も多い。動的性質の研究に関しては今までコロイド界面を意識しないで発展してきた内容も多い。その多くが将来において重要なテーマに育つものと考える。研究者の思いを知ることを大切にしたいので5章を研究者の独自な裁量で編集して下さるようにお願いした。

 製造現場ではトラブルの多くがコロイドおよび界面に関した知識が要求されるのに反して,この分野は教育体制の中で取り上げられる機会が極端に少なくなってきている。現場で何かトラブルが生じたときに,経験の浅い技術者や研究者のほとんどすべての者が無防備のまま問題解決の必要に迫られるということも多い。この状況は講習会の後の質問や,機器メーカーに寄せられる質問にも垣間見ることが出来る。

 最近,特に評価法やもっと奥の深いコロイド界面の本質に関わる質問も多くなっている。例えば,ステアリン酸塩の親水・親油性を知ろうとして,指標となるHLB値を計算するときに使用する計算方式によって正反対の結果が出たりする。これは物質の二面性が関与している。例えば,ステアリン酸カルシウムの単分子膜を基板上に移し取ったときに最上面に疎水基が並んでいれば親油的な表面になり,親水基が並んでいれば親水性の表面となる。

 このように,コロイド界面の分野では,製法,手順,コツといったものによって集合体の性質が大きく変わることが多く,現場に合った評価法を選ぶ必要に迫られる。また,表面自由エネルギー成分を出そうとしたときに,計算方式が同じでも標準物質の選び方によって数値が異なる結果になることがある。これは自由エネルギー成分を独立関数と仮定して作られた理論の前提に原因があるので知っておく必要がある。ただし応用面では良い武器となるので数値の細かい差異を気にせずに使うのが良いと考える。こうした数値評価の矛盾に悩むことの多い分子特性評価の問題点は6章にまとめられた。既刊の書において溶解度パラメータの解説が不足していたので,その周辺の事項について,トレーニングの為の例題を示すなど,初めて学ぶ者を想定して書かれている。

 7章にはクロマトグラフィー技術を取り上げた。このテーマも既刊の書籍には省かれたので,この書では基礎からの解説を記載した。この領域は応用面での進展が著しく,コロイド界面を研究する立場から見ると,充剤などの分子設計や組み立てから測定に至る随所にノウハウが数多く積み重ねられている分野のように思える。そうした目に見えない部分やその周辺が少しでも見えるようにと企画された。

 8章は執筆者の裁量にお任せしているが,コロイド界面から離れて独自の学問体系を予感させる内容で,5章同様に自由な裁量での編集を依頼した。5章も8章も執筆者としては前面に出ることはなかったけれど同志社大学の吉川研一先生には本来なら編集者として名前を頂きたいくらいのご協力を頂いたのでこの場を借りて特に感謝の意を表したい。 同様に京都大学の市川正敏先生(5章),同志社大学の貞包浩一朗先生(8章)の編集作業に感謝の意を表したい。

 最後に,コロイド界面に関係した問題で現場で役に立つ内容にしたいとすれば,ページ数はこの書の10倍程度に達すると思われる。コロイド界面から出発して特異な発展を遂げた分野を含むからである。これらを先に示した既刊の書と合わせることによってある程度の内容は網羅できたと考える。しかしながら,あまりに広範囲にわたる全体を把握してまとめる力量はなく,役に立つと思われる題材を選んだ。取捨選択の過程に偏見や選択の誤りは否めないが,コンサルタントとして最近に受ける相談を素にしているので,この書が役に立つ現場は多いものと確信している。

2016 年 7 月 監修 石井 淑夫  

●主な目次 (詳細目次は各章タイトルをクリックするとご覧になれます)

第1章 微粒子分析法
 第1節 粒子の定義
 第2節 粒子分析に必要な物理化学の基礎
 第3節 粒子の界面の分析
 第4節 粒子分析に必要な“分析化学”の基礎知識
 第5節 粒子の分析法概論

第2章 電気泳動による分析技術
 第1節 マイクロチップ電気泳動
 第2節 柔らかい粒子の電気泳動
 第3節 二次元電気泳動
 第4節 キャピラリー電気泳動
 第5節 野菜および茶成分の分析
 第6節 インゲルキナーゼ・ホスファターゼアッセイ法
 第7節 翻訳後修飾タンパク質の電気泳動
 第8節 古くて新しい電気泳動法−尿タンパク質分析における
       セア膜電気泳動法の活用
 第9節 顕微鏡泳動法によるコロイド会合体の荷電解析

第3章 電気泳動技術に関連した新材料・新技術
 第1節 生体を制御するエレクトロベクトルマテリアル
 第2節 先端バイオセラミックコーティングの材料化学的評価
 第3節 コロイド粒子の電気泳動現象を利用したセラミックス
        成形プロセス
 第4節 電気泳動特性をもつ非イオン性ポリ系新素材
 第5節 蛍光二次元電気泳動を用いたがんの
        バイオマーカー開発
 第6節 タンパク質検出用蛍光分析試薬の開発と
        ハイスループット検出法への応用
 第7節 電気泳動における材料プロセッシング
 第8節 固体酸化物形燃料電池−分散系の応用−
 第9節 潤滑油

第4章 分散粒子の特性
 第1節 高濃度コロイド粒子の評価技術
 第2節 実用コロイドの製造過程における諸課題と対策
 第3節 電気泳動法によるゼータ電位の測定
 第4節 電気泳動光散乱測定
 第5節 磁化率による粒子評価法
 第6節 気泡の応用〜電界誘起気泡メスについて〜

第5章 界面自由エネルギーから運動エネルギーへの変換
 第1節 濡れ性の変化により基板上を自己駆動する液滴
 第2節 表面張力差に駆動される固体の運動
 第3節 マランゴニ効果による液滴の自発運動
 第4節 マランゴニ効果におけるエントロピー生成
 第5節 化学反応を用いて水中で自発運動を行う白金触媒粒子
 第6節 静電位によって駆動される微小水滴
 第7節 温度勾配が駆動する粒子の運動
       〜Ludwig-Soret effect〜
 第8節 振動場における物体の運動
 第9節 表面波に駆動された液滴

第6章 界面を形成する分子の特性表示
 第1節 分子の親水性,疎水性
 第2節 表面自由エネルギー成分
 第3節 分散系における界面活性剤による物質/物質間の
       相溶性の指標値と処方設計への応用
 第4節 HLB方式−乳化剤の選択を中心として−
 第5節 有機概念図法によるHLB値の推定
 第6節 溶解度パラメータを用いた界面活性剤のHLB値の
       算出法
 第7節 TLCを用いた界面活性剤の評価法
 第8節 親水性水和と疎水性水和
 第9節 最近の水界面現象研究の概略

第7章 クロマトグラフィー
 第1節 粉体中の液体浸透速度の解析
 第2節 高速液体クロマトグラフィー
 第3節 薄層クロマトグラフィー
 第4節 ガスクロマトグラフィー
 第5節 ガスクロマトグラフィータンデム質量分析法

第8章 非平衡界面での諸現象
 第1節 動的光散乱
 第2節 ソフトマターと中性子散乱
 第3節 中性子反射率法を用いた生体模倣膜の自己組織化
       構造観察
 第4節 小角光散乱によるμmスケールの構造観察
 第5節 混合溶媒の分散状体
 第6節 人工細胞の設計
 第7節 リン脂質・界面活性剤の水和状態と自己組織化
       構造形成の相間
 第8節 軟X線分光法
 第9節 脂質膜の相分離
 第10節 液体の統計力学理論による分子認識・会合過程に
        関する研究
 第11節 濃厚イオン液体条件下におけるタンパク質の
         立体構造
 第12節 界面活性剤分散系を用いた高アスペクト比
        金ナノロッドの合成
 第13節 水/有機溶媒/塩の混合溶液で見られる
        新奇な臨界現象と秩序構造

索引